プレイエル MODEL No.3 “シノワズリー” 1903年製
花の都パリの貴族趣味を今に伝える証言者![]() フランス製中古品 1903年製造 製造番号12・・・・ 外装 全面皮革張仕上 全長204cm 全幅152cm 重量 約315kg 88鍵盤 2本ペダル プレイエルアクション搭載 アートケースについて
ピアノの発達が長足の進歩を遂げて、現在のモダンピアノが確立した19世紀には、
現代まで存続している世界的に有名なピアノメーカーが続々と登場します。
そんな優秀なピアノメーカーでは、会社の発展と当時の皇室や王室の御用達の座を競いました。
各社は言わば社運を賭けてしのぎを削り、当時、欧米各地で盛んに開かれた博覧会や展示会に、
外装に芸術的な装飾や絵画を施した豪華絢爛なピアノを続々と出展しました。
こうした特別なピアノは、通称「アートケース」と呼ばれます。
元来、「アートケース」は19世紀より以前のチェンバロの時代から、 ヨーロッパ各国の宮廷が競うようにして、豪華絢爛な装飾や絵画を施した楽器を、 お抱えの楽器製作者に作らせていた事に端を発します。 それらは宮廷の中にあって、家具などの豪華な調度品の一部として、その国の富や権力、また豊かな国力を象徴するもの であったからに他なりません。 花の都パリにあって、代表的な老舗ピアノメーカーであるプレイエルは、ピアノの華麗な音色のみならず、 外装の美へもこだわるフランスピアノの伝統に従って、エラールやガヴォーといったフランスの代表的な ピアノメーカーと競うように、多彩なアートケースが製作されて来ました。 当店の“シノワズリー”も、世界的に極めて貴重なアートケースの一つです。 このピアノについて
このピアノは19世紀からのアートケース最盛期から見て、その後期にあたる1903年に製造されました。
このピアノは胴体外側が皮革張りであり、その上に中国風の模様、人物、建物、鳥、虫や自然の風景が描かれ、
ヨーロッパ人が広く好んだ東洋趣味の一つであるシノワズリー様式の影響が認められます。
また、描かれている人物の表情や動きは実にゆったりとしていて、ヨーロッパ風にいえば「牧歌的」であり、 ヨーロッパ人の目に映った理想郷・中国のイメージが表現されています。 このピアノが製造された1903年は、実際にシノワズリーの流行した時代からは数世紀遅れていますが、 19世紀から20世紀初頭のアール・ヌーヴォー時代にあって、エチゾチックなものが再び注目された影響かと思われます。 随所に見られる手の込んだ装飾による模様など、極めて良い状態で保存されています。 シノワズリーについて
「シノワズリー」とはフランス語で「中国趣味」を意味します。
かつて中国がChina ではなくCathayと呼ばれていた時代、冒険家による数々の話のみで中国が伝えられていました。 それらの中での中国のイメージは、皇帝の強大な権力のもとに繰り広げられる絢爛豪華な世界であり、 その神秘的なヴェールに包まれた存在は、西洋人に強い憧れをかきたてました。 17世紀に入ると、航海技術が飛躍的に発達して東洋との交易が盛んになりました。 とりわけ有名な東インド会社によって多くの陶器、象牙、漆、シルク等の品々がヨーロッパへ入り始めて瞬く間に注目され、 貴族社会を中心として全ヨーロッパにシノワズリ−の大流行が起こりました。 同時に中国の服装・家具・建築なども広く注目されるようになります。 それらの品々には中国の雄大な歴史を感じさせる気品と風格が漂い、それまでのヨーロッパには無い優美さを併せ持つその存在感は、 多くの人々を魅了しました。 そして、あらゆる芸術家や職人達が、その技法や芸術的モティーフを標榜して、家具調度品、インテリア小物、陶磁器、織物、服飾、絵画に 至るまで積極的にシノワズリーが取り入れられて人々の生活に浸透して行きます。 そしてシノワズリーはあらゆる芸術や文化に影響を与えるようになり、18世紀に入ると、重要な装飾芸術として 「シノワズリー様式」が確立されます。 シノワズリーは、後に流行するジャポネスク(日本趣味)をはじめ、西洋における東洋趣味への目覚めと言える文化の幕開けとなり、 西洋人のセンスでアレンジされた東洋の美は、中国伝統美の枠を越えて新しい感性として洗練され、 現代にあっても、様々なアイテムの中に広く活かされています。 |